農業用水路を利用した小水力発電の普及を目指す研究会が今月、上伊那地方で発足する。県上伊那地方事務所、伊那、駒ケ根両市、用水路を管理する複数の土地改良区などが参加。発電した電力をかんがい施設で使ったり、売電収入を水路などの維持管理費に充てたりできないかも探る。中央、南の両アルプスに挟まれ、水資源が豊富な上伊那圏域独自の取り組みだ。 農業人口が減少傾向にある一方、農業用水路などの老朽化が進み、設備更新の負担が重くなっている。上伊那地事所は、土地改良区が管理する用水路の可能性に注目。研究会設立を呼び掛けた。 名称は「上伊那地域農業生産基盤再生可能エネルギー活用研究会」。行政の他、上伊那美和(伊那市)、伊那市春富、駒ケ根市大田切の3改良区が参加。官民が連携してつくる上伊那地域自然エネルギー普及協議会、水力発電を手掛ける県企業局南信発電管理事務所(伊那市)も加わる。 水利権許可手続きの一層の簡素化、費用対効果などの課題についても話し合う予定。伊那市春富土地改良区の織井秀夫理事長(78)は、かんがい期と非かんがい期で水の流量が一定でないことや、発電施設の維持管理費などを課題に挙げつつ、「行政による支援の在り方などを含め、話し合っていきたい」と話す。 県小水力利用推進協議会副会長で、上伊那地域自然エネルギー普及協議会副会長の小沢陽一さん(63)=伊那市=は「改良区が持つ資源を有効活用するのは大きな流れ。1カ所だけでは小さなエネルギーでも、複数の場所を組み合わせれば大きなエネルギーになる」と指摘。各地域を流れる用水路の可能性に期待する。 研究会は22日、伊那市内で第1回会合を開く。事務局は上伊那地事所農地整備課が担う。(長野県、信濃毎日新聞社)
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