諏訪郡富士見町と伊那市境の入笠山(1955メートル)で1980年代から天体観測を続ける東京都の愛好家2人が、発見した小惑星に「Fujimimachi(富士見町)」と名前を付けた。「星のきれいな富士見町を多くの人に知ってほしい」との願いを込めたといい、町も「星空の町」として観光誘客を図る際の象徴に活用するつもりだ。 2人は都立高校教諭の平沢正規さん(57)=八王子市=と、立川市職員の鈴木正平さん(58)=清瀬市。85(昭和60)年に愛好家仲間と入笠山・御所平峠近くの富士見町側に観測所を建てて観測を始め、90年代には2人で52個の小惑星を発見した。 今回名付けた小惑星は91年10月に見つけた。軌道の調査などを経て、2000年ごろ国際天文学連合(本部パリ)に新天体と認定された。「観測仲間になじみ深い地名だから」と、昨年末に「富士見町」の名を同連合に提案し、ことし6月に正式登録された。 大きさは直径5~10キロ。火星と木星の間にあり、太陽の周りを3年余りかけて一周する。地球からの距離は1億5千万~3億5千万キロ。通常は写真に辛うじて写る程度の明るさだが、地球に最も近づく来年5月には、望遠鏡で確認できる可能性があるという。 2人によると、入笠山は気流が安定している上、標高が高く、街の明かりも少ないため天体観測に適している。御所平峠では昨年夏、愛好家仲間の一人が山荘経営を始めた。そうしたつながりもあり、平沢さんは「(小惑星が)町の活性化につながるきっかけになればうれしい」と期待している。 今月、2人から小惑星の名前や写真が入った額を贈られた富士見町も歓迎。入笠山麓でゴンドラリフトを運行するスキー場「富士見パノラマリゾート」で、この小惑星をはじめとする星の観察会などができないか検討を始めた。小林一彦町長は「自然の美しい町の新たな観光資源として星空を宣伝する。小惑星はその象徴にしたい」と話している。(長野県、信濃毎日新聞社)
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