諏訪大社は15日、春の農耕期を前に五穀豊穣(ほうじょう)を祈る「御頭(おんとう)祭」を茅野市宮川の上社前宮(まえみや)で開いた。氏子ら約200人が長い列をつくり、ご神体の「御霊代(みたましろ)」を載せたみこしを諏訪市中洲の上社本宮から運んだ。前宮では、神前に鹿の頭の剥製などをささげ、豊作を願った。 みこしは、茅野市泉野(いずみの)の中道、槻木(つきのき)両地区が担ぐのが慣例。薙鎌(なぎがま)や矛、のぼり旗を持った氏子がみこしを先導した。一行は、厳かな雅楽の音に合わせて本宮を出発。1時間ほどかけて約1・5キロ離れた前宮に到着した。白や黄の装束で練り歩く姿を見て、車の窓を開け写真を撮る人もいた。 前宮では、境内の建物「十間廊(じっけんろう)」にご神体を安置。野菜やコメ、生きたキジなどをささげた後、神職が祝詞を上げた。 名古屋大大学院の博士研究員で諏訪大社御柱祭を研究する石川俊介さん(32)=上水内郡信濃町=は、写真を撮りながら見物。十間廊近くに並ぶ満開の桜を見上げ「豊作への思いや春の芽吹きを感じる祭事ですね」と話していた。(長野県、信濃毎日新聞社)
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