政府の教育再生実行会議が15日に示した、自治体の首長が教育長を任命、罷免できるようにすることなどを柱とした教育委員会改革が、長野県が取り組む「教育再生」にどの程度影響するかは現時点では不透明だ。 県と県教委は、相次いだ教職員の不祥事で県民の信頼感が揺らいでいる県教育の再生のため、3月に「教員の資質向上・教育制度あり方検討会議」がまとめた提言を実行する行動計画を策定中。提言には約60項目の改善策が盛られているが、今回の教育再生実行会議の提言で挙げられた教育長の権限強化といった改革案と重なる内容はあまりなく、県教委教育総務課は「行動計画策定には影響はないのではないか」とする。 行動計画は5月をめどに策定する予定。行動計画に沿って教育再生に取り組んでいるかをチェックする第三者委員会も発足させる。教員の資質向上・教育制度あり方検討会議の提言では、教育委員会制度に関し、「県教委と市町村教委の責任と権限、役割分担の明確化」「県教委から市町村教委へ人事権を移すことの検討」などを求めている。 政府の教育再生実行会議の提言について、阿部守一知事は取材に「教育行政の責任を明確にする方向性では一歩踏み出した感はある」と述べ、一定程度評価する姿勢を示した。一方、法令違反があった自治体に国が是正を指示できるとした点については「地方分権の視点が希薄」として疑問視。詳細な制度設計を担う中央教育審議会(中教審)で、首長と教育長の責任の在り方も含め「さらに十分議論をしてほしい」とした。(長野県、信濃毎日新聞社)
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