エムケー精工(千曲市)は、門型洗車機の使用水量を自社従来機に比べて最大7割削減できる新システムをJR東日本子会社のジェイアール東日本コンサルタンツ(東京)と共同開発し、搭載製品の販売を始めた。水と風を混合させ霧状にして吹き付け、車の汚れを落とす。主要顧客のガソリンスタンド業界は、原油価格高騰や低燃費車の普及で経営環境が悪化。燃料販売以外で収入を確保しようと洗車機導入の需要が高まるとみて、節水効果を売り込む。 建設・設備関係などを手掛けるコンサルタンツ社が水と風を混ぜる「2流体洗浄」を以前から研究しており、エムケー精工は技術提案を受け、2011年夏から共同開発を進めていた。 新システム名は「アラッシュ」。洗剤やブラシで洗う前に、車体表面の泥などを落とす「予備洗浄」で用いる。車体乾燥用の送風機と水が出るノズルを組み合わせ、水を霧状にして吹き付ける。高圧ポンプで水を吹き付ける従来方式だと1回の洗浄に45リットルの水が必要だったが、アラッシュは14リットルで済む。 従来方式はミラー周辺など水が当たらない部分に洗い残しが生じやすかったが、アラッシュは激しい気流を発生させ、霧状の水を満遍なく行き渡らせる。風圧による振動で汚れを浮き上がらせる効果もあるとし、エムケー精工の荒木栄治オート開発部長は「少量の水でも風との相乗効果で洗浄力は高い」と説明する。 門型洗車機市場は08年のリーマン・ショック後、設備投資抑制傾向で低迷していたが、ここ2年ほどは買い替え需要で回復傾向。同社の13年3月期連結売上高予想は、洗車機などが伸びて前期比3・6%増の195億円になると見込む。小林文彦常務は「設備投資抑制の反動もあって、最近は洗車機の買い替えが活発になっている。節水効果をアピールし、需要を取り込みたい」としている。(長野県、信濃毎日新聞社)
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