下伊那郡阿智村駒場の「満蒙（まんもう）開拓平和記念館」の開館式があった２４日、式典の出席者や村民らを対象にした内覧会があった。旧満州（中国東北部）の写真、元開拓団員らの証言を書き起こした文書などの展示資料からは、国策に翻弄（ほんろう）された開拓団員らの苦難の歩みを学べる。展示を見た人たちは、歴史を語り継ぐ大切さ、平和の尊さを実感していた。
展示は、満蒙開拓に至る時代背景を解説した「序章」をはじめ八つに分かれる。旧満州の当時の映像を流す展示では、広大な土地を馬で耕す様子などを壁一面に投影する。都道府県別の送出者数を棒グラフで示す展示では、県内が圧倒的に多いことが分かる。
逃避行の惨劇を伝える展示「敗戦と逃避行」では、ソ連軍の侵攻や関東軍の撤退、開拓団員の帰還の様子を旧満州の地図上で確認できる。最後の「平和な未来へ」は元開拓団員らが来館者へのメッセージを語る映像で締めくくる。
元開拓団員の小木曽弘司さん（８９）＝飯田市駄科＝は、シベリア抑留を経て１９４８（昭和２３）年に帰国。引き揚げ船の写真を見て「シベリアから単身帰国したので、私も引き揚げの様子は知らなかった。体験者が少なくなる中、歴史を語り継ぐ拠点ができたのはありがたい」と話した。（長野県、信濃毎日新聞社）
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阿智の満蒙開拓平和記念館、村民向け内覧会
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