戦前、戦中に旧満州(中国東北部)に満蒙(まんもう)開拓団員を送り出した歴史を伝える全国初の施設として下伊那郡阿智村駒場に完成した「満蒙開拓平和記念館」の一般公開が25日、始まった。午前9時半の開館前には約10人が集まり、開館を急きょ10分ほど早めて対応。遠くは鳥取県から訪れた人などが、展示室を回りながら、映像や写真、当時の資料などに見入っていた。 入植地の様子を振り返る展示室「新天地・満州」では、開拓団や青少年義勇軍の入植地を示す地図を指さす元開拓団員や、義勇軍の訓練服や教本を見ながら「よく残っていたね」と話す人もいた。 木曽郡木祖村から訪れた元開拓団員の田上望さん(83)は来館を楽しみにしていたという。旧ソ連軍の侵攻に伴う逃避行などについての説明文を目にして「収容所では大勢の仲間が亡くなり、食べ物もなくつらかった。戦争と言えば原子爆弾のことが取り上げられがちだが、満蒙開拓も伝えてほしい」と語った。 同館によると、午前中は155人が訪れた。開館時間は午前9時半~午後4時半。一般500円、小中高生300円。火曜と第2、4水曜は休館。(長野県、信濃毎日新聞社)
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