県環境保全研究所(長野市)は26日までに、外来生物法で要注意外来生物に指定されているアゲハチョウ科の「ホソオチョウ」を長野市内で確認し、駆除した。昨年夏に県内で初めて確認されたのと同じ場所で越冬し、今月中旬ごろ発生したらしい。春に発生する「春型」で、25日は昨年夏の「夏型」よりやや小ぶりで赤い斑紋も異なる雌1匹が、草むらで羽を休めては低空で飛んでいた。 ホソオチョウは中国、朝鮮半島、ロシア南東部が原産地。環境省などによると、韓国から移入、定着したらしい。幼虫が在来のジャコウアゲハと同じウマノスズクサを食べるため、在来種の減少が懸念されている。 今回と同じ場所では、昨年夏に成虫10匹のほか数十個の卵、100匹余りの若齢幼虫が確認され、同研究所は成虫や卵、幼虫計約500個体を駆除した。今回は散歩中の人が見つけ、同研究所が今月18日に8匹、23日に5匹、25日に6匹の成虫を駆除した。 日本鱗翅(りんし)学会理事で長野市の田下昌志さん(51)は、「寒さに強く、草むらに隠れていたさなぎが越冬、羽化した」と説明。今後も気温上昇とともに発生を繰り返し、いったん途切れて6、7月ころに夏型へ移行するという。 通常、国内では数年たつと見られなくなるが、山梨県では毎年発生する例が確認されている。田下さんや同研究所は、小まめな除去と他の場所への移動禁止を提言している。(長野県、信濃毎日新聞社)
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