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山への畏れ 険しい周知 GWの県内遭難、県外者9割

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 「事前に麓の天気予報などを調べたが、結果として天候判断を誤った」―。北安曇郡白馬村の北アルプス白馬大雪渓で4月27日に発生した雪崩に巻き込まれ、計6人のうち女性(56)が死亡した岐阜県の山スキークラブの男性メンバー(56)が7日、信濃毎日新聞の取材にこう語った。  6人は雪崩前日の26日、登山口の同村猿倉に止めた車で眠った。登山開始は27日午前7時半ごろ。一帯は26日から雪が降り、北ア北部地区山岳遭難防止対策協会の隊員が猿倉で入山自粛を呼び掛けていた。男性は登山開始時は小雪だったとし、「これぐらいなら行けると思った。遭対協の人には会わなかった」。  大雪渓では一度に雪崩に巻き込まれないよう、間隔を開けて歩いた。だが、「あんなに大きな雪崩があるとは思わなかった」。午前10時半ごろに発生した雪崩は6人の予想を超え、全員が巻き込まれた。  パーティーは入山数日前に麓の天気情報などを調べたというが、仲間1人を失う結果に。男性は「大雪渓に入る前に小屋の人に話し掛け、現地の情報を集めればよかったと思う」と悔やんだ。  県内の山岳では、大型連休中(4月27日~5月6日)に白馬大雪渓での雪崩を含め計27件の遭難が発生し、統計のある1954(昭和29)年以降で2番目の多さとなった。9人が死亡、1人が行方不明で、18人がけがをした。県警地域課によると、滑落による遭難も目立ち、山岳関係者は技術や体力の不足が遭難の原因の一つと指摘している。  中央アルプス空木岳では、池山尾根上のやせた部分で滑落が相次ぎ、1人が死亡、2人がけがをした。中ア地区遭対協の唐木真澄救助隊長によると、今季は例年より雪が凍り付いた箇所が多い。だが、3人が登山用ロープやヘルメットを使った形跡はなく、唐木隊長は「必要な時に必要な装備を使いこなすことが大切」とする。  連休中、県内の山で無事救助された人を含む遭難者計34人のうち、県外からの登山者が約9割の30人を占めた。こうした人にどう注意を促すかが、遭対協、警察、自治体などの課題となっている。  山域別で最も多い9件の事故があった北ア南部の槍・穂高連峰を管轄する北ア南部地区遭対協の山口孝救助隊長は、荒天となった4月27日、涸沢で経営する山小屋の100人余の予約を全て断った。「安全を第一に考え、毅然(きぜん)とした態度で登山者に臨む必要もあると考えた」と話す。  ただ、白馬村観光課の担当者は「遭難の恐れが明らかな場合、一時的に入山を止めることも必要かもしれない。だが誰の権限で行えるのか…」。篠崎孔一課長は「行政にできることがあるとすれば、危険箇所など山の最新情報を発信し、判断材料にしてもらうことではないか」とし、冬から春にかけての情報収集と発信方法を検討したいとしている。(長野県、信濃毎日新聞社)


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