県内で食肉処理される全ての牛を対象に県が実施している牛海綿状脳症(BSE)検査について、県が検査対象を「生後48カ月超」の牛に縮小する方向で検討していることが14日、分かった。内閣府の食品安全委員会が「(対象を)48カ月超としても人への健康影響は無視できる」とのリスク評価をまとめたことや、全頭検査の見直しを求めている国の方針に沿った対応。ただ、長野県だけが全頭検査を取りやめれば、県産牛肉の安全性に対する消費者の疑念を生みかねないため、阿部守一知事は「全国一斉に取りやめることが前提。状況を見て最終判断する」としている。 県内では毎年、1万頭前後の牛が食肉処理されており、現在はその全ての牛を対象に県がBSE検査をしている。昨年度の県予算は約1100万円で、21カ月未満の牛は全額を県費で賄い、21カ月以上の牛については国から全額補助を受けた。昨年度の国の補助金は約470万円。 2001年に千葉県で国内初のBSE感染牛が確認されて以降、各都道府県は食肉処理場での全頭検査を続けてきた。厚生労働省によると、現在国が検査費用を補助しているのは牛の食肉処理場がある44都道府県と14政令市、17中核市。同省は「01年以降、全頭検査を見直した自治体は聞いていない」(監視安全課)としている。 感染牛は09年までに36頭見つかったが、10年以降は確認されていない。県内での感染例はない。 食品安全委のリスク評価は、国内外の感染牛の統計などで「一部例外を除き検査で陽性となった牛は生後48カ月以上だった」とし、検査対象引き上げの影響がないと判断した。厚労省は4月19日付で各自治体に通知した文書で、7月1日から補助対象を48カ月超とするとした上で、全頭検査を自治体が続けることは「国産牛肉の安全性に問題があるとの誤ったメッセージを発信する恐れがある」として、全頭検査の見直しを自治体に求めていた。(長野県、信濃毎日新聞社)
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