佐久市前山の貞祥(ていしょう)寺で、スイスやオーストリアから禅の修行で訪れた24人が15日、俳句を学んだ。欧州で禅を広めた曹洞宗僧侶の弟子丸泰仙(でしまるたいせん)さん(1982年死去)が貞祥寺を重視していたため、40年ほど前から禅を実践する欧州人が同寺を訪れ続けている。
紺色の法衣を着けた一行は、松尾芭蕉や小林一茶の俳句を通じてむなしさや自然をあるがままに詠む精神を学んだ。指導した長野市の俳人マブソン青眼(せいがん)さん(49)は「禅を続けているためか、初めてとは思えないほど理解が深く、良い俳人になると感じた」。
弟子丸さんは1914(大正3)年佐賀県生まれ。「本物の禅を欧州に伝えたい」と67(昭和42)年に渡仏した。禅は宗教を超えて広まり、欧州各地に道場ができた。モダンバレエの巨匠モーリス・ベジャールにも影響を与えた。
弟子丸さんは生前、「本来の禅を伝える寺」と貞祥寺を薦め、欧州の弟子を連れて来た。スイスで禅道場を開き、今回弟子を引き連れたモニカ・レイブングッドさん(59)は「貞祥寺は東洋と西洋の文化が融合するとても重要な場所」と話した。
弟子丸さんの長女の魚谷(うおや)三千代さん(64)=兵庫県西宮市=は「佐久市は第二の故郷。貞祥寺での修行が受け継がれていてうれしい」と話す。
一行は野だての体験などをし、22日に帰国する。(長野県、信濃毎日新聞社)
↧
佐久・貞祥寺で欧州の24人禅修行 俳句の心学ぶ
↧