県内の上場機械系製造業で2014年3月期の設備投資予想を前期より増額する動きが目立っている。ここ数年は世界的な景気減速を受けて抑制した企業も多かったが、円安進行などによる業績見通しの改善も後押し。新たな設備で製品開発の強化や事業拡大を目指す。ただ欧州景気の低迷や中国の成長鈍化など不安要素も残り、投資に慎重な企業もある。 新光電気工業(長野市)は、高丘工場(中野市)で2011年9月から整備を進める新工場棟で、生産設備導入のため前期比70億円増の230億円を予想。サーバー向けの高付加価値な集積回路(IC)パッケージやスマートフォン(多機能携帯電話)向け製品の生産を本年度下期をめどに順次始める計画だ。 25億円余を上乗せし140億円を予想する日信工業(上田市)は北海道に研究開発施設を整備中。乗用車、バイクのブレーキ性能を確認する試験コースを併設する。「リーマン・ショック後に一時投資額が60億円台に落ちたが、必要な投資は着実に進める」(総務部)とする。 前田製作所(長野市)はレンタル用建機の更新や台数増加、県外支店の改築に充てるため、前期比5億7500万円増を予定。双信電機(佐久市)は14年3月期から3年間で約25億~30億円規模を投じて、国内拠点で新装置導入などを進める。「自動車や半導体など各市場の回復を見込み、積極投資する」(経営企画室)とする。 前期に新東京本部移転など大型投資が相次いだミネベア(北佐久郡御代田町)は「平年並み」(広報室)の200億円台。セイコーエプソン(諏訪市)は青森県の子会社で進める津波被害対策費も含めて微増。長く円高に苦しんだ竹内製作所(埴科郡坂城町)も14年2月期の設備投資は微増の見込み。「不景気による傷んだ体をケアする『リハビリ期』だ」(総務部)とする。 一方、13年3月期にインドの第2工場建設に投資した日精エー・エス・ビー機械(小諸市)は減額方針。「為替動向に左右されて投資額を決めるのではなく、計画通り進める」(経理部)とする。長野計器(上田市)は欧州景気の低迷を懸念し「今期も先が見通せない部分が多い。現有設備の更新にとどめ、大きな新規投資は控える」(経営企画部)としている。(長野県、信濃毎日新聞社)
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