AIJ投資顧問(東京)による年金資産消失事件の被害などで財政難に陥っている県建設業厚生年金基金(長野市)は22日、長野市で代議員会を開き、厚年基金制度見直しを柱とする年金制度改正法案が成立し次第、基金解散への手続きを進めると議決した。会合後の取材に、中川信幸理事長が明らかにした。 同基金の2011年度決算では、国から預かって運用している年金資産に積立金不足が食い込む「代行割れ」額が約180億円に上る。これまでは理事会で解散方針を確認するにとどまっていたが、解散を促す国施策の具体化を受け、機関決定を急いだ。 現行法では、基金解散時に代行割れ分を加入企業が連帯して穴埋めしなければならないが、連鎖倒産の危険性もあり、改正法案は連帯の仕組みを解消。最長返済期間も15年から30年に延びる見通し。 最低限必要とされる積立金額の算出方法も見直される方向だが、同基金への影響について中川理事長は「計算してみないと分からない」と説明。法改正後、加入企業による国への返済の平均額などを試算して各企業に説明していく考えを示した。現在の算出方法に基づく加入企業の返済額は、従業員1人当たり数百万円とされる。(長野県、信濃毎日新聞社)
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