昨年4月に95歳で亡くなった上田市の編集者兼作家、小宮山量平さんと児童文学作家の故・灰谷(はいたに)健次郎さんを思い出す「うの花忌(はなき)」が26日、同市天神のエディターズミュージアムで開かれた。2人と親交のあった作家永六輔さんが約120人の来場者に思い出を話した。 永さんは、ともに俳優で故人の小沢昭一さんや渥美清さんとのやりとりに触れて会場を沸かせながら「『ちっともいい世の中にならなかった』と言っていた小宮山さんをはじめ、みんなやりたかったことを残して亡くなってしまった」と残念がった。 小宮山さんの長女で同ミュージアムを運営する荒井きぬ枝さん(65)は「夢で父に会い、『今度はおまえが書くんだよ』と言われたけれど、父の思いをどれだけ理解していたのか…。これから皆さんの力を借りて学んでいきたい」とあいさつした。 終了後、灰谷さんの研究をしている東京都文京区の遠藤玲奈(れな)さん(30)は「この場所で小宮山さんとお会いした時のことをあらためて思い出した」と話した。 小宮山さんは、創業した出版社の理論社から「兎(うさぎ)の眼」をはじめ灰谷さんの作品を数多く世に送り出した。自身の誕生日(5月12日)に合わせて灰谷さんの思い出を語る「卯(う)(兎)の花忌」を2008年から開催。荒井さんが2年ぶりに再開した。(長野県、信濃毎日新聞社)
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