諏訪市郊外の霧ケ峰で4月28日に起きた大規模火災から1カ月半。火災直後に黒く焦げていた焼け跡が、緑の草原へと変貌している。枯れ草が燃えて太陽光が入りやすくなったとみられ、延焼しなかった部分との違いがはっきりと分かる。一方、見通しの良くなった草原に観光や山菜採りで入り込む人も多く、県は外来種の持ち込みなどにつながりかねないとして注意を呼び掛けている。 市などが4月に実施した火入れ(野焼き)は、当初約10ヘクタールで枯れたススキなどを燃やす計画だったが、強風にあおられ、国天然記念物の踊場(おどりば)湿原の一部約3・5ヘクタールを含む計約220ヘクタールを焼いた。 湿原の植生への影響はまだ見通せないが、草原部では草が30センチほどに伸び、順調に自然が再生しているようだ。火が間近まで迫ったビーナスライン(県道諏訪白樺湖小諸線)沿いの富士見台駐車場前では、横浜市から来た男性(66)が「レンゲツツジは焦げたままだが、草原はきれいですね」と話していた。 一帯の草原は、土地所有者に無断で立ち入ることができない場所が多い。火災以後、山菜採りなどで現場を訪れる人は増えており、県霧ケ峰自然保護センターは「草原に入る人が目立つが、靴に付いた外来種の種が草原に入ったり、植物を踏み付けたりする恐れがある。中には入らないで」としている。(長野県、信濃毎日新聞社)
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