東日本大震災で天井板を金具でつり下げた「つり天井」の落下が相次いだため、県内の小中学校で体育館などからつり天井を撤去するための検討が始まった。文部科学省が全国に対応を求めており、費用を補助する。安曇野市教育委員会は補助を活用し、つり天井がある市内14校、18棟のうち、年度内に5校、5棟の実地調査と耐震設計を行う。 同市教委は昨年度、市内全17小中学校で目視と図面による総点検を実施。体育館や講堂など8小学校の10棟、6中学校の8棟につり天井があった。天井の形や天井材の重量、つり具の状況から豊科東小、穂高北小、三郷小、豊科南中、明科中の5棟の危険度が比較的高いと判断し、本年度に設計まで行うことにした。 実地調査を経て、天井の撤去、つり具の補強、耐震基準に合った天井への取り換えなどを選択。音響や断熱、吸音などの効果が維持されるかも検討し、来年度から工事を始める予定だ。同市では小中学校の建物自体は耐震改修を終えている。 文科省は、有識者会議による天井など落下防止対策の中間まとめを昨年9月に発表。15年度の完了を目標に対策を急ぐよう求めている。自治体の参考になる「対策の手引」が出来次第通知する。 長野市教委によると、つり天井がある同市の小中学校の体育館は4校、4棟。本年度に対策を検討する予定で「15年度までに工事をしたい」とする。松本市は6校、6棟で昨年度までに5棟の耐震補強をした。ただ、同市教委は対策の手引に盛り込まれる耐震基準に適合するか確認するとしている。 18校、18棟につり天井がある佐久市教委は「今のところ危険性はない」とみて、手引ができてから改修を検討する方針だ。(長野県、信濃毎日新聞社)
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