県警は他人に譲り渡す目的を隠して金融機関で口座を開設したり、口座の通帳やキャッシュカードを他人に譲り渡したりする犯罪(詐欺や犯罪収益移転防止法違反に該当)を特殊詐欺の「助長犯」と位置付け、ことし1~5月に25人を摘発した。統計がある2004年以降、最多だった昨年(52人)に並ぶペースだ。 県警捜査2課によると、ことし5月までの摘発の内訳は、他人に譲り渡す目的で口座を開設した詐欺容疑が11人、自分の通帳などを他人に譲り渡した犯罪収益移転防止法違反容疑が12人。他に、他人に譲り渡す目的を隠すなどして携帯電話を購入した詐欺容疑が2人だった。 助長犯の摘発は04年の5人から徐々に増え、県内で特殊詐欺の被害額としては過去最多(6億4千万円余り)を認知した07年は26人に上った=グラフ。 特殊詐欺の犯行グループは、こうした無関係の人物の名義の口座や携帯電話を犯行に使い、捜査でグループにたどり着くのを困難にしている。同課は「犯人グループの摘発と並び、助長犯を一つ一つ摘発して少しでも被害を食い止めたい」としている。 犯罪収益移転防止法は、犯罪集団などが違法に得た収益金のマネーロンダリング(資金洗浄)を防ぐ狙いで07年に制定。有償、無償を問わず、自分名義の口座を譲り渡すことを禁じた。(長野県、信濃毎日新聞社)
↧