県山岳遭難防止対策協会(県遭対協)は7月から、安全登山の知識や技術を全国に伝えるのにふさわしい山岳関係者を、独自に「山岳遭難防止アドバイザー(仮称)」に認定し、県内外で開かれる登山講習会の講師などとして派遣する仕組みをつくる。県内の山岳遭難件数が3年連続で過去最多を更新する中、山の怖さを知らない登山者に積極的に情報を発信する狙いだ。長野市で17日にあった総会で明らかにした。 アドバイザーになる人は、元県警山岳遭難救助隊員や夏山常駐パトロール隊員、県内各地区の遭対協隊員を想定。県外在住者であっても、県内の山岳事情に詳しく、遭難を防ぐための知識や技術を持っていれば認定する。県遭対協が窓口になって全国からの講師要請を受け付け、内容に合ったアドバイザーを派遣する。 県遭対協事務局によると、県内外の山岳関係団体や登山用品店などから「遭難の事例を学びたい」という依頼が県警山岳遭難救助隊に寄せられることが多い。しかし、大型連休や夏山シーズンの最盛期に講師の派遣依頼が重なると、県警だけでは対応しきれないことがあるという。アドバイザー認定には、こうした状況を解消する目的もある。 県内で2012年に遭難した279人のうち、県外在住者は240人(86%)に上った。三大都市圏に住む人が目立っており、同事務局は「都市部の登山用品店主催の講座などで、積極的にアドバイザーを活用してもらいたい。具体的な遭難事例を学ぶことが最も有効な防止策」とする。 この日の総会では、北アルプス南部など県内5山域をヘルメットの「着用奨励山域」に指定することも決めた。県遭対協が本年度で創立50周年を迎えたのを記念し、日本山岳ガイド協会の磯野剛太理事長による特別講演もあった。(長野県、信濃毎日新聞社)
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