厚生労働省が子宮頸(けい)がんワクチンの積極的な接種呼び掛けを一時中止するよう自治体に勧告したのを受け、須坂市は17日、市内4中学校の1年生女子を対象に7月に予定していた集団接種の中止を決めた。上田、安曇野、飯田、駒ケ根各市は、積極的な接種呼び掛けは中止する―といった通知を女子中学生らの世帯に郵送。勧告に強制力はなく、諏訪市は「ワクチンの有効性を否定するものではない」などとしてこうした通知は出さないと決めるなど、県内自治体の対応は分かれた。 須坂市では5月に1回目の集団接種を終えており、2、3回目の希望者は個別に医療機関で受けるよう保護者に通知する。市健康づくり課は「これだけ副作用の情報があれば、不安に思う保護者や生徒がいると判断した」としている。 同市のことしの対象者は275人で、このうち243人(88・4%)が1回目の接種を受けた。2回目は7月、3回目は11月の予定だった。同課の樽井寛美課長は「2回目以降を延期すると効果はどうなるのか、国は見解を示しておらず、保護者は戸惑う。保護者には国の対応を随時通知する」と話した。 上田市は17日、接種を勧める説明書などを送ってあった市内の中学1年生女子約700人の世帯に、接種呼び掛けの中止と十分な説明を受けて納得してから接種を受けるよう勧める文書を発送。安曇野、飯田、駒ケ根市も同様の通知を送った。ただ、安曇野市は今後の方針変更に備え、既に配布した予診票を保管しておくことも呼び掛けた。 長野、中野、飯山、千曲、東御市、東筑摩郡生坂村もこうした通知を準備中。伊那、茅野市も対象者への連絡を検討している。同郡麻績村と筑北村は、接種を呼び掛ける通知の発送を見送った。 岡谷、佐久、小諸市は医療機関への通知を既に終え、松本、大町市は、中学校や医療機関を通じて対象者に対応の変更を説明する方針。塩尻、中野、東御市などはホームページに情報を載せた。 一方、3月に接種呼び掛けの通知を出した諏訪市は、新たな通知で混乱を招くことも懸念。医療機関に接種希望者への副作用に関する事前説明の徹底などを求める文書をファクスし、市ホームページに関連情報を掲載した。(長野県、信濃毎日新聞社)
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