伊那市は25日、中央アルプス将棊頭(しょうぎがしら)山(2730メートル)に所有する山小屋「西駒山荘」の改築工事で2回目の入札を行い、応札した4社とも予定価格を上回り、成立しなかった。今月6日の初回入札でも4社が応札したが、いずれも予定価格を上回った。2回連続の「不落」には、高山帯での工事の特殊性も影響しているとみられる。 市側は7月着工、11月完成、来年7月に新装オープン―の見通しを示していた。白鳥孝市長は取材に、新装オープン予定を「変えたくない」とし、「作戦を練り直さなければならない」と述べた。 予定価格は事前には公表されていない。改築を担当する市商工観光部は、天候面のリスクもある高山帯での工事コストをめぐり、業者側と受け止めに差がある可能性を指摘。「対応は検討中」としつつ、着工は遅れる可能性があるものの、予定通りのオープンを目指したいとしている。 市によると、1回目は一般競争入札で行った。2回目はヘリコプターによる資材運搬の入札を切り離し、手続きがより早く済む指名競争入札としたが、不落となったため、25日予定した資材運搬の入札は中止した。 西駒山荘は、小説「聖職の碑(いしぶみ)」で知られる1913(大正2)年の駒ケ岳遭難の2年後にできた石室(いしむろ)が原型。計画では現在の平屋から2階建てに改築し、石室部分は残す。(長野県、信濃毎日新聞社)
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