完成50周年を迎えた北アルプス黒部峡谷の黒部ダム(富山県立山町)で26日、恒例の観光放水が始まった。残雪の立山を山水画のように雨雲が流れてゆく中、高さ186メートルのアーチ形堤体2カ所から毎秒15トンの水が真っ白な飛まつになって噴き出し、大勢の観光客を魅了した。 長野県側からダムへは大町市扇沢から関電トロリーバスで15分ほど。このところの雨で大量の流木が浮いた湖面から下流に目を移すと、河床を削らないようスプレー状に放流する水が霧になり、時折、ダム堰堤を越えて舞い上がった。放水はことしも10月15日まで毎日行われる。 1963(昭和38)年の完成から半世紀。この日、親戚ら4人で50周年記念ツアーで訪れた広島県尾道市の建設会社役員小山守さん(67)は、建設当時、映画館のニュース映像で工事の模様を見ていたという。当時のショベルカーやダンプの走行跡をコンクリートで型どりした建設記念碑前で放水を見ながら、「建設資材も今とは比べものにならないころによく造った。さすが日本一のダム」と感慨深げに話していた。(長野県、信濃毎日新聞社)
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