東京電力福島第1原発事故後の福島県の農家を追った記録映画「超自然の大地」の先行上映会が7日、伊那市であった。同市出身で米シカゴ在住の映画監督梶野純子さん(39)と、夫のエドワード・M・コジアスキーさん(37)が、この冬の完成を目指して制作を続けている作品。二人も会場を訪れ、梶野さんは「力強く生きる福島の方々から私たちが勇気をもらっている」と話した。 二人は原発事故後の2011年5月、福島県に入り、南相馬市や二本松市などの農家に密着して撮影を開始。今回は、昨年までに撮った映像を約1時間45分にまとめた。 「福島で新しい農業の形をつくっていきたい」「がんを宣告されても受け入れる気持ちが定まってきた」…。映画はインタビュー形式で、再生に懸ける農家の思いや葛藤を伝える。梶野さんは、現地の農作物の安全性を判断する基準は簡単には線引きできないとし、「福島に残る人たちは(農作物を食べるか食べないか)毎日難しい問題を突き付けられている」と話した。 上映会は梶野さんの母校、伊那北高校(伊那市)の同級生や卒業生有志らでつくる実行委員会が主催。午前と午後の2回あり、計230人余が来場した。(長野県、信濃毎日新聞社)
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