伊那市地蜂愛好会は27、28日に市内で予定していたことしの「蜂追い大会」を、地蜂が減少したため中止した。田中耕一会長(66)=上伊那郡南箕輪村=によると、春の寒の戻りで蜂が死んでしまったことや近年の乱獲など、「複合的要因」が考えられるといい、「伊那谷の恒例行事だけに残念」としている。 同会前会長の小木曽大吉さん(70)=伊那市=によると、大会は15年ほど前から始まり、10年ほど前にも蜂の減少で中止になったことがあるという。田中会長は「ことしは餌をまいても蜂が来ない。圧倒的に数が少ない」と話す。 蜂はかつて、山間地の貴重なタンパク源だった。上伊那地方では、蜂をイカなどの餌でおびき寄せ、餌を持ち帰る蜂を追い掛けて土中の巣を見つけ出す「すがれ追い」が盛ん。大会は、伊那谷の伝統食と文化を伝えるのが目的だ。 小木曽さんは「元気な人は(巣を探しに)県外に出掛けることもできるが、高齢の愛好者はがっかりしていると思う」と気に掛けていた。(長野県、信濃毎日新聞社)
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