2012年度の野生鳥獣による県内の農林業被害額は、前年度比10・8%減の12億6400万円となり、比較可能な03年度以降で最少だったことが24日、県林務部のまとめで分かった。被害額の減少は5年連続。ニホンジカを中心とする個体数調整(駆除)の強化や侵入防止柵の設置による成果が出たとみられる。ただ依然として被害は深刻で、県は捕獲を担う人材の育成や防止柵の設置拡大にさらに力を入れる方針だ。 同日、県庁で開いた野生鳥獣被害対策本部の会合で同部が示した。被害がこれまで最少だったのは05年度の12億8500万円。07年度に17億4200万円でピークとなり、その後は減少に転じていた=グラフ。同部は「これまで力を入れてきた駆除や防止柵の設置の効果が着実に表れている」としている。 12年度の被害額を動物別にみると、ニホンジカが全体の35・1%を占める4億4400万円で最多。鳥類は17・6%の2億2200万円、クマは11・3%の1億4300万円、イノシシは10・4%の1億3100万円だった。 野菜や果実などを食べられる農業被害が前年度比6・9%減の7億9400万円、樹皮が食べられる林業被害が同16・7%減の4億7千万円だった。地域別では下伊那地方が最大で全体の3割余に当たる3億9100万円だった。 一方、12年度のニホンジカの駆除と狩猟を合わせた捕獲頭数は前年度比23・9%増の3万3668頭。狩猟で毎年ほぼ一定の頭数が捕獲されているが、近年は市町村などによる駆除が急増し、12年度は捕獲頭数全体の8割近い2万6773頭に上った。(長野県、信濃毎日新聞社)
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