東御市田中で宅幼老所「岩井屋」を運営するNPO法人「普通の暮らし研究所」は、同市御牧原の旧御牧原保育園の建物を再利用し、障害児と高齢者の共生型デイサービス施設、不登校の子どもの支援室、一般向けの食堂や簡易宿泊部屋を備えた多目的施設にする。福祉施設の利用者以外にも地域住民や旅行者などさまざまな人が集い、交流できる場所を目指す。来年3月の開所を予定する。 県介護支援室は「同じ建物に障害者や高齢者の施設と一般向けの食堂などがあるのは珍しい」としている。 同法人によると、開所するのは「台地の駅御牧ケ原岩井屋」。市から空いている園舎を借りる。発達障害の子どもらを預かり、作業療法士らによる療育をする児童デイサービスと、介護保険のデイサービスを併設。障害児と高齢者が同じ部屋で過ごす環境をつくる。不登校の子どもは、小学生などの支援を想定している。 食堂は旧保育園の調理室を活用。同法人は現在、障害者の就労支援のため、東御市内6カ所の畑を借りて野菜作りや販売に取り組んでおり、収穫した野菜や地元食材を使った料理を出す。自家焙煎(ばいせん)したコーヒーも販売。宿泊はデイサービス用の部屋を利用し、低料金に設定する予定だ。 旧御牧原保育園は、市内5地区に保育園を1園ずつとする市の方針に伴い2010年3月、同市大日向の中央保育園(現北御牧保育園)に統合して閉園した。その後、地域住民でつくる跡地利用研究委員会が園舎の活用法を検討していた。 同法人は今後、地元説明会を開き住民の希望を聞いて詳細を決める。総事業費は未定で、国からの補助金も見込んでいる。理事長の岩井孝司(たかし)さん(49)は「いろんな人が集う昭和の懐かしい雰囲気を大切にし、地域に活気をもたらす拠点にしたい」と話している。(長野県、信濃毎日新聞社)
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