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元ゼロ戦パイロット・原田要さんが反戦訴える本を出版

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 零式艦上戦闘機(ゼロ戦)の元パイロットで真珠湾攻撃やミッドウェー海戦を体験した原田要さん(96)=長野市浅川西条=が、戦争体験や平和への思いをまとめた本「戦争の嘆き」が、長野市内の出版社から出版された。戦地で苦しい時に母親への思いで生き残った経験や、死んでいく兵士が皆「おっかさん」と叫んだ様子から、「戦争を止められるのはお母さんです」と訴えている。  原田さんはこれまで自費出版などで手記を4冊出している。今回は、本紙折り込みの無料情報紙「週刊長野」で2012年4~10月に26回連載した記事を基に、若い母親世代に向けたメッセージ性の強い内容にした。自費出版の予定だったが、映画の題材になるなどゼロ戦に注目が集まっており、「この機会に平和の尊さを知ってほしい」と同市の企画制作・出版会社「イッツ・エンタープライズ」の細川順子社長(61)が出版を決めた。  原田さんは、1933(昭和8)年に横須賀海兵団に入団。37年に操縦練習生教程を首席で卒業した。中国戦線を皮切りに転戦し、42年にガダルカナル島上空での空中戦で負傷。その後は終戦まで内地でパイロットの教官を務めた。終戦後は、牛乳販売店の経営などを経て、幼稚園の園長になった。長く戦争体験を語らなかったが、91年の湾岸戦争を機に証言を始めた。これまでに小学校や公民館などで60回ほど講演し、戦争のむなしさを訴えている。  「戦争の嘆き」では、撃墜した敵パイロットの苦しそうな顔が忘れられないとし、「戦争に勝ち負けはありません。たとえ勝っても、負けた人のことを一生引きずって生きて行かなければなりません」と記した。  原田さんは「一番弱った時には目の前に母親が出てくる。死んでいく兵隊さんも最後は『おっかさん』と叫んで死んでいく。母親の存在の大きさが分かった」と話す。幼稚園で幼い子どもたちの笑顔に触れる日々から、「母と子の関係が家族、村、県、国、世界に広がれば平和な世の中になる。母と子が寄り添う姿が平和の原点」としている。  四六判、209ページ。税込み1050円。県内の平安堂12店で購入できる。問い合わせはイッツ・エンタープライズ(電話026・237・9393)へ。(長野県、信濃毎日新聞社)


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