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電気通す硫黄原子ワイヤ 信大チーム、世界で初めて作製

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 信州大(本部・松本市)の研究組織「エキゾチック・ナノカーボンの創成と応用プロジェクト拠点」の金子克美特別特任教授(物理化学)、藤森利彦准教授(カーボン科学)らの研究チームは12日、極細の筒状の炭素繊維「炭素ナノチューブ(CNT)」内に、硫黄の原子がつながった「硫黄原子ワイヤ」を作ることに世界で初めて成功したと発表した。  硫黄は電気を通さないが、硫黄原子ワイヤは通すことを確認。これらの複合繊維はCNT単独より電気を通す性質(導電性)が優れ、極めて微細な電子部品に必要とされる「ナノ導線」や太陽電池の電極素材に応用できる可能性があるとしている。  金子特別特任教授らは、容器に硫黄とCNTを入れて600度に加熱。バラバラになった硫黄原子が直径約1ナノメートル(ナノは10億分の1)のCNTに取り込まれ、規則的につながって原子ワイヤになった。CNTの直径が小さいとワイヤは直線状に、大きいとジグザグ状になった。  原子ワイヤはCNTと同程度の導電性を持つ他、耐熱性も高く、300度まで構造が安定しているという。  金子特別特任教授は会見で「(原子ワイヤは)硫黄原子が規則正しく並んだ『結晶』のため電気を流すのではないか。全く新しい特性を生み出せた」と述べた。性質を詳しく調べ、長い繊維を作るなどの研究を進める方針だ。  同チームによると、硫黄は原油の精製過程ででき、硫酸など工業用薬品や肥料に使われている。年間320万トンの国内生産量の半分は海外に輸出され、十分活用されていない。今回の複合繊維は、電線に一般的に使われている銅に代わる素材になる可能性もあるという。  研究成果は英オンライン科学誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に発表した。(長野県、信濃毎日新聞社)


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