学校法人「才教学園」(松本市)が松本市の才教学園小、中学校の開設を計画していた2004年、県の認可を得るために名簿を提出した就任予定教員16人のうち、05年の開校時に実際に同校教員になったのは、山田昌俊理事長(校長)を含む2人だけだったことが28日、分かった。同学園によると、大半は県が開設を認可した04年12月以前に辞退した。多数の両校教員が免許外の教科を教えるなどしていた問題を教育職員免許法違反の疑いで捜査している県警は、こうした経緯とその後の違法な教員配置との関連を調べている。 一方、県は29日に同学園の現地調査を行う。問題発覚後3回目。2学期の教員の態勢を確認するほか、同学園が15年度に計画する高校開設の認可申請を継続するか、なども山田理事長らから聞き取る予定だ。 県によると、同学園は開校当初の05年度から違法な教員配置をしていた。捜査関係者は、同法違反の故意の有無を見極めるには、開校前にさかのぼって教員雇用の実態を解明する必要がある、としている。 同学園の松山治邦・前事務長兼教頭によると、辞退した14人は山田理事長の親戚や山田理事長が経営したり、代表を務めたりしている学習塾の講師、NPO法人の会員らで、知り合いを頼って集めた。 04年当時、79歳だった山田理事長の義父(88)もその1人で、取材には「教員になるつもりだったが、学校側からお呼びがかからなかった」と話している。義父は開校以来、現在まで同学園評議員を務めている。NPO法人会員だった松本市の女性(57)は「理事長の教育理念に共感して就任を承諾したが、一身上の都合で辞退した」と述べた。 同学園は04年6月30日に就任予定の教員名簿を設置認可申請書類とともに提出し、同年12月24日に認可を得た。同学園はその後、教員を再募集して17人を採用し、辞退しなかった2人を合わせた教員計19人態勢で05年4月に小、中学校を開校した。 県情報公開・私学課によると、認可前の私立学校の募集に応じた教員がその後公立学校に採用されることもあり、就任予定の教員名簿と開校時の教員が異なることはあり得る。ただ、同課の久保田俊一課長は「名簿の16人のうち14人が異なる(教員にならない)というのは、そんなにある話ではない」と疑問を示している。(長野県、信濃毎日新聞社)
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