セイコーエプソン(諏訪市)は31日、2013年3月期の連結業績予想を下方修正し、純損益が150億円の赤字(前期は50億3200万円の黒字)になる見通しと発表した。7月末時点では50億円の黒字を予想していたが、欧米の景気回復の鈍化や新興国市場の減速により、主力のプリンターなどの販売が減少すると見込んだ。下方修正は今期2度目。通期の最終赤字は3期ぶりとなる。 業績悪化に加え、事業環境の先行き不透明感も強まっているとして、従来は1株当たり13円としていた期末配当の予想を「未定」に修正した。中間配当は従来予想通りの1株当たり13円とした。 通期の売上高は従来予想を200億円下回る8500億円(前期比3・2%減)に修正。一部製品で計画通りのコスト削減を達成できなかった影響もあり、経常利益は従来予想より120億円少ない160億円(同40・8%減)に引き下げた。 同日発表した12年9月中間決算は、連結売上高が前年同期比8・8%減の3882億7300万円。対ユーロなどで為替の円高が続いた影響もあり、経常損益は141億9300万円の赤字(前年同期は61億4600万円の黒字)、純損益は354億4700万円の赤字(同43億7千万円の赤字)となった。 エプソンは、今期のインクジェットプリンターの販売台数を前期比で10%以上伸ばす計画だったが、「前期並み」に引き下げた。利幅の低い低価格製品の販売数量を絞り込む一方で、付加価値の高い製品の販売に注力し、採算の改善を目指す。 同社は15年3月期までの3年間の中期経営計画で、連結売上高を1兆円、営業利益を700億円に引き上げる業績目標を掲げていたが、達成が困難な状況になったと判断。目標値の見直しに着手した。最大の収益期である10~12月期の業績を見極めた上で、できる限り早いタイミングで公表するという。(長野県、信濃毎日新聞社)
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