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塩尻のワイン用ブドウ、減る生産量 高齢化進み農家減少

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 国内有数のワイン産地で七つのワイナリーがある塩尻市で、ワイン用ブドウの生産量が減っている。塩尻産ワイン自体は評価を高め、愛好家から注目が集まっているが、ワイン用ブドウの価格が上がらない上に生産者の高齢化が進んでいるためだ。  塩尻市宗賀でワイン用ブドウを栽培する女性(78)は、31日までに今季の収穫をほぼ終えた。「農薬の値段は上がるけれど、(ワイン用)ブドウの価格は10年ほど上がっていない。私も来年続けられるか分からない」。忙しい時期を乗り切ったのに表情はさえない。  市によると、生食用も含めた市内のブドウ農家は1995年の706戸から、2010年は471戸へとほぼ3分の2に減少。ワイン用ブドウの栽培面積は02年度の165ヘクタールをピークに11年度は約126ヘクタールに減り、生産量も2971トンから2275トンに減った=グラフ。  ワイン用ブドウの価格は、中信葡萄(ぶどう)加工事業協同組合(塩尻市)加盟の市内のワイナリーと生産者の協議で決まる。赤ワイン用の「メルロー」の高品質種が1キロ315円などだが、この10年ほどほぼ変化がない。同組合理事長の塩原悟文・信濃ワイン社長(60)は「生産者の意欲を高めるため値上げを検討する必要がある」と認める。  ただ、塩原社長は「国産ワインに注目が集まっているが、原料価格が高くなれば安い海外産ワインと競争できるのか」とも。生産者の意欲が減退し、後継者が育ちにくい状況をどう打開するか、頭を悩ませている。  ワイン用ブドウは、02年度に県産農産物のブランド化を図る「県原産地呼称制度」の対象となり、品種ごとに糖度などを定めて品質が向上。しかし、糖度を高めるには房の厳選が必要で、収量が減少。剪定(せんてい)や芽かきなどの作業も増え、それまで以上に手間がかかるようになった。  市農林課によると、ワイン用ブドウの生産者は60歳以上がほとんど。専業ブドウ農家の百瀬明さん(67)=塩尻市宗賀=は「やめる農家の代わりを見つけてきたが、あと5年ほどして大規模な農家がやめた場合、吸収しきれるか不安」と話す。  今のところ、ワイナリーが自社農園を広げたり、やめた農家に代わって畑を管理したりして、生産量の減少は一定程度に抑えられている。一方で、飲食店などとの取引が増えたのにブドウが足りず、醸造量を増やせないワイナリーもある。  自社農園の運営は、ワイナリーにとっても負担で、井筒ワインの塚原嘉章社長(75)は「自社農園は高級用ワインを中心にしている。低価格用は剪定回数を減らすなど省力化を研究している」と話している。(長野県、信濃毎日新聞社)


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