毎年、諏訪湖で発生する水生昆虫ユスリカの生態を研究している信州大繊維学部(上田市)の平林公男教授(52)の研究室が、発光ダイオード(LED)電灯を点灯しておくより、点滅させた方が飛んでくるユスリカが少ないとの実験結果をまとめた。平林教授は「照明などに応用すれば、防除に役立つ可能性がある」としている。 信大の谷口彬雄(よしお)名誉教授、LED製品製造・販売のセキシン電機(東京)との共同研究。大型のアカムシユスリカが発生した10月21日から今月11日まで、諏訪湖畔の信大山地水環境教育研究センター(諏訪市)で実験した。 LED電灯は白、緑、赤の3色を用意。色ごとに点灯、点滅(0・1秒、0・5秒、1秒間隔)の4パターンの装置を並べ、虫を誘う効果が高い蛍光管のブラックライトに集まるユスリカの数と比較した。 ブラックライトに集まった数を100とした場合、白色LEDを点灯した場合は20、点滅させた場合は2~5だった。過去の実験でLED電灯は蛍光灯などよりユスリカを引きつけにくいことが分かっているが、点滅させるとさらに数が減ることが分かった。 一方、光の波長が長い赤色はもともと虫を寄せ付けにくく、点灯と点滅の差はなかった。緑は数値がばらつき、統計的な差は認められなかった。 ユスリカは人を刺すことはないが、大量発生すると店舗や室内に入り込んだりして不快がられる。平林教授は「作業場や室内の明かりを点滅させるのは難しいだろうが、外灯やネオンなどで応用できる可能性がある」と話している。(長野県、信濃毎日新聞社)
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