県警は22日、塩尻署に窃盗容疑で逮捕、起訴されその後無罪となった塩尻市内の会社員男性(40)の1月の公判で、共謀してうその証言をした偽証の疑いで、いずれも当時塩尻署刑事課所属だった、課長の男性警部(41)、係長の男性警部補(46)、主任の男性巡査部長(33)の書類を長野地検に送った。捜査の過程で入手した証拠品を紛失したことを隠すのが目的で、県警は同日、警部を減給10分の1(3カ月)、警部補を同10分の1(1カ月)、巡査部長を戒告の懲戒処分にした。 県警は3人の氏名や現在の所属先を明らかにせず、正式な記者会見は開かなかった。 送検容疑は、3人は共謀し、1月29日、地裁松本支部で開かれた公判で、証人として出廷した巡査部長が、犯人が下着を持ち去る様子を映した防犯カメラの静止画像を記録したCD―Rを署内で紛失していたのに、カメラを管理する会社に返した―とうその証言をした疑い。 警部と警部補は公判前の昨年12月、巡査部長から紛失の報告を受けたが、署長らには報告せず、巡査部長にうその証言をさせていた。 3人とも「(CD―Rを)なくしたことを隠したかった」などと話し、容疑を認めているという。 県警によると、巡査部長は昨年2月13日、カメラを管理する会社で防犯カメラの静止画をデジタルカメラで接写する一方で、防犯カメラのデータを記録したCD―Rも持ち帰った。しかし、昨年10月に紛失に気が付き、公判を控えた昨年12月、この会社を訪れ、CD―Rは会社に返却して破棄したことにしてほしいと口裏合わせを依頼したという。 公判では、巡査部長が防犯カメラを接写した画像が証拠として提出された。しかし、地裁松本支部は男性を犯人と特定するには画像が不明確で証拠として不十分などとして、今年3月に無罪判決を言い渡した。 県警監察課の長谷川康彦首席監察官は「法を守る警察官がこのような事案を起こしたことは誠に遺憾。県民の皆さまに深くおわび申し上げます」とのコメントを出した。岩崎孝作刑事部長は取材に「誠に残念。再発防止を徹底していく」と述べた。(長野県、信濃毎日新聞社)
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