諏訪市博物館で23日、鉄道輸送の拠点として整備された旧国鉄・上諏訪機関区の歴史を振り返る特別展「上諏訪機関区の108年」が始まった。3月にJR東日本・松本運輸区上諏訪支区が廃止され、同機関区から続く歴史が幕を閉じたことを受け、地域産業を支えた鉄道の歴史を知ってもらおうと企画した。 博物館によると、上諏訪機関区は、1905(明治38)年の中央東線八王子―岡谷間開通、上諏訪駅開業と同時に開設。旅客、貨物輸送の基地として機関車用の「転車台」や扇形機関庫などを備えた。 しかし、昭和30年代になると動力がディーゼルや電気へと転換され、71(昭和46)年に扇形機関庫が、87年の国鉄分割民営化後には転車台跡がなくなった。上諏訪機関区は2002年に松本運輸区上諏訪支区となり、3月のダイヤ改正に伴い廃止された。 特別展は、上諏訪駅ができた当時の構内写真や機関庫に掲示されていたナンバープレートなど、博物館所蔵や旧国鉄OBらに借りた資料約300点を展示。この日は、諏訪地方などの鉄道愛好家でつくる「諏訪鉄道倶楽部」と「鉄道友の会長野支部」が協力し、模型列車を走らせるイベントも開いた。 昭和40年代の駅構内を再現したジオラマ(立体模型)の上を模型の機関車などが走ると、子どもたちは「格好いい」「すごい」と大喜び。諏訪鉄道倶楽部事務局の樋口公男さん(61)=茅野市=は「地域の歴史を子どもたちに伝えていきたい」と話していた。 24日も午前10時~午後4時、模型列車を走らせる。午後1時半からは元機関士によるトークショーもある。特別展は12月15日まで(月曜休館)。(長野県、信濃毎日新聞社)
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