県建設業厚生年金基金(長野市)の多額横領容疑事件で、県警は25日までに、業務上横領容疑で逮捕した元事務長坂本芳信容疑者(56)を同容疑で来週にも再逮捕する方針を固めた。逮捕容疑の6440万円以外の横領についても既に接見した弁護士や捜査員に対して認める供述をしており、その金は「全額、使った」との供述をしている。金は銀行口座などを経ずに直接、遊興費などの支払いに充てられたケースが多く、供述に基づく使途の裏付けに時間を要している。再逮捕することで、多額横領に至った動機をさらに追及する。 基金関係者によると、坂本容疑者は2005年6月3日からタイに逃亡する直前の10年9月7日までに計44回にわたり基金口座から現金を引き出し、掛け金を運用している大手生命保険会社への送金との差額を横領していたとみられることが分かっている。その総額23億8700万円余が使途不明金となっており、同基金は、事実上1人で資産管理をしていた同容疑者が横領したとみている。 横領したとみられる金は、坂本容疑者が、海外旅行など遊興費や個人的投資などに充てていたことが判明している。捜査関係者によると、これらは口座記録などに痕跡が残っていないものが多く、同容疑者の供述を一つ一つ裏付ける捜査を続けている。 坂本容疑者が最初に同基金から横領したとみられる05年6月の額は4300万円余りと多額だった。県警は、多額横領容疑事件の動機の解明には、今回の逮捕容疑となっている10年7月の時点だけでなく時点をさかのぼって追及する必要があるという。(長野県、信濃毎日新聞社)
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