安曇野市堀金烏川の木工所で、正月の餅つきに使う臼ときねの製作が最盛期を迎えている。経営する小林健男さん(65)と男性従業員が27日も屋外で作業に励み、ちょうなで木を削る「コツ、コツ」という音が辺りに響いた。 臼は2年間乾燥させた樹齢100~150年のケヤキを長さ50センチに切る。餅をつく部分をチェーンソーで粗彫りした後、ちょうなで深彫りし、丸かんなで滑らかに仕上げる。縁よりも内部が広い「ミカン型」に整えており、餅をついたときにきねを傷めず、臼の中で餅が自然に回るという。 今季は10月上旬から作り始めた。午前8時半から日没まで作業し、1個作るのに2、3日かかる。寒風の中で作業する日が多いが、小林さんは「冬でも汗だくで寒さは感じない。かえって寒くないと臼は作れないよ」と話す。材料をよく見て、一つ一つ異なる木の風合いを生かしている。 1シーズンに100個をめどに全国から注文を受ける。直径45~60センチで価格は10万~15万円。凍り餅を作る人の需要もあり、作業は来年2月まで続く。(長野県、信濃毎日新聞社)
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