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松本の老舗アイスクリーム店 戦前からの歴史に幕

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 松本市中心部の上土(あげつち)商店街にある老舗のアイスクリーム専門店「スギヤ」(大手4)が4日、閉店した。昭和初期に売り出した「アイスキャンデー」などが人気を呼んだが、設備が老朽化したり、少量では原材料が仕入れにくくなったり。この日は客が次々と訪れ、「思い出の味」がなくなるのを惜しんだ。  杉山英典(ひですけ)さん(84)と妻節子さん(78)、次女敬子さん(51)の家族経営。1907(明治40)年に創業した記録があり、敬子さんの曽祖母もとさんが近くの縄手通りで食堂を開いた。35(昭和10)年ごろ、もとさんが東京で見てきたアイスキャンデーと、あずきと砂糖で作るあずきアイスを発売。上土に移った後、喫茶店などを経て70年代半ばにアイス専門店になった。  節子さんは「55年前後に松本で最初にソフトクリームを出した」と言う。かつて周辺には映画館が立ち並び、映画を見てから店に来る人も多かった。スティック状のアイスキャンデーもミルク味、イチゴ味などがあり、2010年時点でも1本40円。敬子さんは「キャンデーが松本の夏の風物詩と言ってくれる人もいました」と振り返る。  だが、映画館が相次いで閉館し、人通りが減少。多い時で30種類ほどあった商品は、設備の老朽化で10年秋にアイスキャンデーの販売をやめたりして徐々に減った。  4日に店を訪れた客は「お世話になりました」と節子さんらに声を掛けたり、店の外観を写真に収めたり。松本市安曇の自営業斎藤正樹さん(32)は「高校の部活後にアイスキャンデーを買った。思い出がたくさんあり、感謝の気持ち」。敬子さんは「楽しみだったお客さんとの会話がなくなるのが寂しい。これまで来てくれた人たちに感謝したい」と話していた。(長野県、信濃毎日新聞社)


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