信大病院(松本市)が、県内のがん医療態勢を強化するため「信州がんセンター」(仮称)を発足させる方針を固めたことが、関係者への取材で5日分かった。抗がん剤を使った化学療法や患者の心身のケアと同時に、県内のがん医療を行う病院の連携を強化する拠点にする考え。県内のがん医療はこれまで、信大病院を中核とする各地域のがん診療連携拠点病院が担ってきたが、連携などが十分でない面もあったという。 計画によると、全国各地のがんセンターのような建物は新たに造らず、まずは信大病院内の各診療科の横断的な態勢整備を進める。同病院で外来化学療法などを担う「がん総合医療センター」を発展的に解消。がん治療に特化した新講座を信大医学部に開設し、同講座を担当する教授らが中心となって各診療科の連携を深めていく。 「信州がんセンター」は、化学療法や放射線治療など複数の治療法を組み合わせる「集学的治療」部門、がん患者の心身のケアを担う部門、がん患者の情報を集積するとともに、がん医療を行う病院の連携拠点として県内全域の支援態勢をつくる部門で構成。各病院の情報を集め、個々の患者に適した病院や医師を紹介するシステムも構想する。 信大病院は詳しい取材に応じていないが、こうした方針をがん患者の遺族らでつくる「がん医療を考える県民の会」に説明した。同会は「信大病院を中心に県内のがん医療を行う病院がそれぞれの特長を持ち寄り、県全体が『がんセンター』になるのが理想。全国のモデルになればいい」としている。 信大の山沢清人学長、天野直二病院長、「県民の会」関係者らは8日、県庁に阿部守一知事を訪ね、財政面などの協力を求める予定という。(長野県、信濃毎日新聞社)
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