年明けから2日にかけて県内の寺社は初詣客でにぎわった。景気が回復傾向にあるとはいえ、4月に消費税増税を控え、安倍政権が集団的自衛権の行使容認など戦後政策の根本を転換する動きも視野に入れる2014年。多くの人が家族の健康や景気回復、平和が続くことなどを願った。 諏訪市の諏訪大社上社本宮。娘2人や妻と訪れた団体職員前田隆行さん(32)=伊那市=は家族の健康などを祈った。迫る消費税増税には「不安だが福祉が手厚くなって子育てしやすくなるといい」。上伊那郡箕輪町の主婦井上栄子さん(65)は昨年12月、特定秘密保護法成立を見て「孫が徴兵されるような世の中にならないか」と心配になった。「お金がないのはまだ何とかなる。平和が続くように祈った」と話した。 大町市の主婦勝野美保さん(30)は幼い息子2人の健康を願い、安曇野市の穂高神社へ。長男出産時に仕事を辞めざるを得なかったといい「子どもが保育園に入れたら勤めに出たいが、職はあるのか」と不安も漏らした。サービス業に就きたいという松本大2年の奥原虎次朗さん(20)=松本市=は「語学力を付けるなど、今年はどれだけ頑張れるかだ」と意気込んだ。 リニア中央新幹線の県内駅建設予定地から1キロほどの飯田市の元善光寺。同市に帰省中のライブハウス店長吉川直人さん(52)=東京都=は「景気回復を実感できる年になればいい」。自宅から実家まで車で約3時間半。「リニアができれば帰省しやすくなる」と期待した。下伊那郡高森町のパート市沢真理さん(39)は「消費税増税など心配はあるけれど、家族の健康な暮らしが一番」。 上田市の北向観音では、社会人1年目の会社員高寺俊作さん(21)=上田市=が「仕事も人間関係も、昨年より成長できたらいい」。家族で訪れた佐久市の会社員高塚希和子さん(40)は、景気回復の実感はないといい「せめてこれ以上、景気が悪くなることなく、今の生活が続きますように」と願った。 長野市の善光寺。小諸市の実家に帰省中の高校3年、千田志輝さん(17)=相模原市=は、家族と志望校の合格祈願に訪れ、「入学したらアルバイトをして学費や生活費を稼ぎたいので、景気は良くなってほしい」。東御市から娘と孫2人と参拝した楢原勝子さん(70)は、消費税増税の暮らしへの影響や原発問題の今後が気掛かりだといい、「日本の政治が良い方向に行ってほしい」と望んだ。(長野県、信濃毎日新聞社)
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