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血小板固め生体材料に 松代総合病院医師ら技術開発

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 細胞の修復を活発化する作用がある血小板を人の血液から取り出して固形化し、生体材料にする技術を、県厚生連長野松代総合病院(長野市)の医師らでつくる研究グループが開発し、9日までに米国の医学雑誌に発表した。損傷した靱帯(じんたい)の再生医療で利用すれば、従来より回復が早まり、手術後の靱帯の強度も高まることが期待できると説明。同病院は「血小板を固形化する技術は世界で初めてではないか」としている。  研究グループは、同病院や信州大医学部(松本市)の医師ら5人。研究の中心を務めた松代総合病院の松永大吾・スポーツ整形外科部長(46)によると、開発したのは「高強度多血小板フィブリン足場材料」(CPFS)。遠心分離機などで血中から取り出した血小板を濃縮し、カルシウムイオンを加えるなどして固形化した。10キロ前後の重さを支えられる強度があるという。  骨と骨をつなぐ靱帯の再建手術では通常、患者のほかの部位から採取した腱(けん)などを移植する。その際、患者の血小板で作った長さ5センチ前後、幅1・5センチ前後のCPFSを腱に沿うような形で骨と骨の間に埋め込むことを想定。血小板には、血液を固めたり、細胞の修復を活発にしたりする作用があるため、腱が定着しやすくなり、回復も早くなると見込んでいる。臨床研究は今後実施していく方針だ。  松永部長によると、液状化した血小板は歯の治療などに応用されているが、治療が必要な部位に血小板が接触し続けることができないため、靱帯再建には使えなかった。  独立行政法人物質・材料研究機構(茨城県つくば市)の陳国平・生体組織再生材料ユニット長(48)は「論文を読む限り、患者の血小板で作るCPFSは人体になじみやすいと思われる。非常に良質な生体材料だ」と評価。松永部長は「CPFSの強度を高めることができれば、CPFS自体を腱の補強材ではなく、靱帯の代用品として使うことも可能になる」としている。(長野県、信濃毎日新聞社)


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