長野、松本市の会社2社で昨年、電話回線が何者かに勝手に使われ、高額な国際電話料金を請求される被害が出ていたことが20日、分かった。ともに社内の電話回線を自動で割り振りしてスムーズに受発信できるよう管理する「構内交換機」に接続、電話が利用された。電気通信事業者協会(東京)によると、昨年、同様の被害を全国で数十件確認しており、加盟社を通じて注意を呼び掛けている。 2社が契約する情報通信会社の県内支店によると、契約会社で被害が確認されたのは初めて。同支店によると、被害はともに昨年8月中旬で、電話の通信先はアフリカの国だった。同支店が通常より高額な国際電話の料金の発生に気付き、2社に連絡したが、既に長野市内の会社で十数万円、松本市内の会社で100万円余りの料金が発生していた。 2社では、構内交換機につながっている保守業者の専用の保守用電話回線から接続した上で、一般電話回線を使って不正に電話をかけていたもよう。保守用電話回線から電話網に入るには、回線の電話番号やパスワードなどが必要だが、同支店によると、業者が保守点検しやすいようにパスワードの数字をすべて同じにしている場合があるという。 同支店は「不正利用の目的など実態は分からない。被害に遭わないようパスワードの桁数を増やして分かりにくくするようにしてほしい」としている。 電気通信事業者協会によると、同様の被害は5、6年前から確認されており、昨年は特に被害が目立った。発信先のほとんどはアフリカなどの発展途上国という。同協会は、相手国の通信会社が利益を得ようと、海外から不正に会社の電話網に接続し、電話をかけさせている可能性があるとしている。(長野県、信濃毎日新聞社)
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