飯田市南信濃、上村両地区に伝わる「遠山の霜月祭り」(国重要無形民俗文化財)を観光客らに紹介する公演が26日、同市南信濃の温泉施設「かぐらの湯」で開かれた。伝統の祭りを多くの人に体験してもらおうと、南信濃八重河内霜月祭り保存会が解説付きで上演。県内外から集まった約150人が堪能した。 太陽の力が弱まる霜月(旧暦11月)に神々を招き、湯を献じて生命の再生を祈る。公演は湯釜を持ち込んだ大広間が会場。10~70代の保存会員18人が舞などを披露した。「水の王」が湯を素手で払う見せ場「湯切り」の場面では、湯の代わりに細かく切った銀紙を飛ばして雰囲気を盛り上げた。猿やカラス天狗(てんぐ)の面を着けた会員も登場。観客は一緒になって「ヨーセー、ヨーセッ」の掛け声をかけ、保存会員と一体となって約1時間の公演を楽しんだ。 今年は地元の市遠山中学校の生徒2人も出演。カラス天狗の面を着けた3年の藤下拳成君(15)は「霜月祭りは一番地域らしさを感じることができる」。名古屋市から夫婦で訪れた早川貴美子さん(58)は「地域の温かみやつながりの強さを感じた」と喜んでいた。 公演は、市南信濃振興公社と遠山郷観光協会が2006年から続けている。(長野県、信濃毎日新聞社)
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