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県内教育現場に戸惑い 「尖閣・竹島は領土」明記で

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 教科書作成や教員の指導指針となる中学校と高校の学習指導要領解説書を文部科学省が改定し、尖閣諸島(沖縄県)や竹島(島根県)を「我が国固有の領土」と明記して全国の教育委員会などに通知した28日、県内の教育関係者からは「従わざるを得ない」「時の政権の判断で学習内容が変わっていいのか」と受け止め方が割れた。海がなく、領土の問題を身近に感じにくい県内の学校現場からは「より一層、領土問題を丁寧に教える必要がある」との声も上がった。  南信地方の自治体の教育委員長は改定について「改定内容をストレートに教えることになるだろう」と受け止めた。一方、別の南信地方の自治体の教育長は「今回の解説書改定には政治の教育への介入がある。そうすべきではないし、時の政権で教える内容が変わることはあってはならない」と強調した。  解説書は文科省が学習指導要領の意味や解釈などを詳しく解説するために作成する資料で法的拘束力はない。それでも「教育者として、解説書には従わなければならない」(南信地方の教育委員長)との受け止めもある。  県内の学校が使う教科書には、竹島や尖閣諸島について「固有の領土」と明記しているものもある。そう明記した教科書を使っている北信地方の中学校のベテラン男性教諭は、北方領土について歴史経過をたどり時間をかけて説明してきた。「尖閣諸島や竹島も、日本の領土と主張するだけでなく、中韓との歴史背景を丁寧に教える必要がある」  ただ、解説書改定で尖閣諸島については「解決すべき領有権の問題は存在していない」との政府見解が盛り込まれた。「なぜ教科書通り教えないのか、教育委員会や学校から圧力がかかるかもしれない。一教師がはねのけられるのか」と、自主性を保ち続けられるか不安も口にする。  昨年12月の安倍首相の靖国神社参拝で中国や韓国との緊張関係が高まった。南信地方の中学校で社会科を教える50代教諭は「この時期にどうして改定するのか。ただ、教育公務員として政府の方針を踏襲しつつ、中国などの動きも紹介していく」。東信の中学校の社会科教諭(40)は「教科書の内容を読み解いて教える力が求められる」と話した。  28日に文科省から解説書改定の通知が届いた県教委は今後、全市町村教委に周知する。この日、県教組の加藤善正委員長は取材に「道徳の教科化などと合わせ、安倍政権が教育現場に介入する強硬姿勢が感じられる」とし、県高教組の細尾俊彦委員長は「教科書が政府の広報誌になりかねない」と危機感を示した。(長野県、信濃毎日新聞社)


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