連合は29日、非正規雇用で働く人との意見交換会を長野市内で開いた。会合に先立つ記者会見で、古賀伸明会長は「少々無理しても賃金を引き上げることが(消費拡大につながり)デフレ脱却の道だ」と述べ、大手企業に比べ業績回復が遅れている地方も含め、全体で賃金の底上げを図る必要性を強調。地方の中小企業組合への対応として「親企業の組合が支援するような態勢も整えていきたい」と述べた。 記者会見後、古賀会長は信濃毎日新聞のインタビューに答え、政労使がそろって賃上げに前向きな今春闘の状況について「追い風になる部分はある」としつつ、「世間全体が浮足立つような雰囲気があるが、地方や中小企業の実態は異なる。『厳しい』というより『難しい』春闘だ」と述べた。 大手企業と中小企業の収益格差の背景には、大手側から単価の引き下げを求められるなど「公正な取引ができていない現状がある」と指摘。取引を正常化していく基盤として、自治体発注事業で適正な賃金水準や労働条件の確保を求める「公契約条例」の制定に、長野県を含め全国で取り組むとした。 労働政策審議会が29日、派遣期間の上限撤廃を柱とする労働者派遣法見直しの報告書をまとめたことについては、「(最長)3年とされてきた期間制限の実質的な撤廃を求める点は労働者保護の後退を招く恐れが大きい」と主張。「賃金を上げろと言いながら、一方で労働者を不安に陥れるような規制緩和をするという、ちぐはぐな政策は理解できない」と批判した。 昨年12月の安倍晋三首相の靖国神社参拝についても「(日中、日韓関係を)悪化させるような行為は慎むべきだ」とし、中韓の労組の全国中央組織と協力し民間レベルでも関係改善を図る姿勢を示した。特定秘密保護法は、廃止法案を通常国会に提出する民主党と連携していくとした。(長野県、信濃毎日新聞社)
↧