県内に本社・拠点がある約600社でつくる県経営者協会(山浦愛幸会長)が、2014年春闘に向け、企業の労働者の賃金体系全体を底上げするベースアップ(ベア)を容認する対応方針をまとめたことが3日分かった。経団連が6年ぶりにベア容認の指針を打ち出したことに沿った対応で、5日に正式決定する。連合長野は同日、5年ぶりにベアを求めることを柱に県経協へ春闘の要求を申し入れる予定で、賃上げの動きがどこまで広がるかが焦点の県内春闘が本格化する。 経団連が春闘の指針として1月に発表した経営労働政策委員会報告は、「ここ数年と異なる対応も選択肢」として、昨年は実施する余地はないとしたベアの容認に転換。県経協も「業績回復している企業がベアや適正な賃金引き上げを行うことを否定するものではない」と容認の方針を示した。 これまで県経協は、経団連の指針に基づき春闘の対応を決めており、経団連が直近でベアを容認した08年も経営労働政策委員会報告を支持。しかし、同年秋のリーマン・ショック以降の景気低迷で、近年は「ベアを行う状態にはない」などと慎重な対応を続けてきた。 デフレ脱却に向け、政府が経済界に賃上げを要請する異例の展開となっている今春闘で、県経協も賃上げを通じて経済の好循環を実現することが必要との認識を示している。 ただ、県内企業には景気回復が十分浸透しておらず、4月の消費税増税や円安による原材料費高騰といった先行きの不安要因も多いとし、県経協の春闘方針は、業績が回復している企業のベアを容認する内容にとどめた。一律の賃金改定は否定し、賞与・一時金での対応も含め、業績や支払い能力に応じて各企業の労使がそれぞれ決定すべきだとの原則も示している。(長野県、信濃毎日新聞社)
↧