「突然なくなると困る」「競争が激しかったのか」―。マツヤ(長野市)が県内に展開する「マツヤ」「ユー・パレット」など32店舗のうち不採算の6店舗が閉鎖されることが明らかになった4日、閉鎖予定店舗近くの住民からは身近なスーパーがなくなることへの困惑が聞かれた。正社員120人規模の希望退職者募集に加え、閉鎖店舗ではパート従業員の雇用の行方も不透明だ。この日、系列店舗は「店内整備の為」に臨時休業で、取材に応じた従業員らは多くを語らなかった。
茅野市宮川のユー・パレット茅野店は、マツヤが南信地方初の店舗として2012年4月に開店。わずか2年での撤退となる。4日、臨時休業とは知らずに訪れた20代の主婦は「家が近いので週に2回は利用していた。無くなるのは困る」と漏らした。6人家族で割安感のある業務用の食品をたくさん買い込むのに重宝していたという近くの主婦(43)も「平日も客がそこそこ入っていたので、閉店するなんて」と驚いていた。
閉鎖予定のマツヤ上田インター店(上田市住吉)では昨年6月、海産物を社内基準の消費期限より遅らせたラベルに貼り替えるなどの不正が発覚した。近くの主婦(40)は「(その時は)大丈夫かなと心配したけれど、その後は混んでいるときもあったので驚いている」と話した。
同じく閉鎖予定の長野市稲里のユー・パレット長野南店の近くに住む主婦(70)は「徐々に年を取っていくから、近所からスーパーがなくなると不便になるねえ」とぽつり。夕食の買い物に訪れた会社員男性(52)は「競争が激しかったのか。きょうは別のスーパーかコンビニエンスストアに寄っていく」と言って立ち去った。
長野市松代町の長野電鉄旧屋代線松代駅前にあるマツヤ松代店も閉鎖予定。2012年3月の屋代線廃線後、「客が少なくなった」と近くの男性(59)は話す。別の近所の50代男性は「車のないお年寄りは特に困ることになると思う」と話した。
臨時休業のため、この日は各店舗とも従業員らの姿はほとんどなかった。マツヤによると、ユー・パレット茅野店の場合、従業員は正社員約10人とパート約40人。閉店後の空き店舗について同社は「同じような業種に声を掛け、入ってもらえるよう折衝している」(管理本部)という。
夕方、長野市北尾張部のマツヤ本社から出てきた女性数人はいずれも言葉少なだった。
閉鎖予定店舗以外の場所で働くパート従業員男性(長野市)は取材に「会社から何も聞いていないので、どうなっているのか分からず、何とも言えない。説明を聞いてから、今後のことを考えたい」と話した。(長野県、信濃毎日新聞社)
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