ソニーが、「VAIO(バイオ)」ブランドで展開しているパソコン事業を再建するため、投資ファンドの日本産業パートナーズ(東京)と設立する新会社が、安曇野市に拠点を置くことが5日分かった。パソコン事業の投資ファンドへの事実上の売却となる。ソニー関係者によると、同社完全子会社で、国内で唯一パソコンを生産しているソニーイーエムシーエス(東京)の同市豊科の組立工場「長野テクノロジーサイト」が拠点となる。
同市豊科には現在、ソニー本体のパソコン関連事業を担うVAIO&Mobile(モバイル)事業本部もあり、開発から製造まで担うことから「VAIOの里」の愛称でも親しまれている。
ソニーのパソコンは、音響や映像に強みを持っていたが、タブレット型多機能携帯端末やスマートフォンの普及に伴い販売が低迷し、パソコン事業は営業赤字だったもようだ。事業の売却額は400億~500億円とみられ、バイオのブランドは引き継がれる見通し。
同社は電機事業の黒字化を2013年度の目標に掲げたが、パソコン、テレビ、カメラの不振で達成は厳しくなっている。同社の13年度パソコン出荷台数は前年度より2割以上減少し、580万台程度の見通し。期初の見通しの750万台から大幅に下方修正している。
ソニーイーエムシーエスは、旧ソニーデジタルプロダクツなどソニー関連の国内11社を統合して01年4月に設立。ソニーイーエムシーエスは拠点ごとの人数は公表していない。同社は、長野テクノロジーサイトを含めた全国の全5工場で早期退職者を3月末まで募集している。
長野テクノロジーサイトは前身の「長野テック」時代に1999年から06年まで、ソニーの犬型ロボット「AIBO(アイボ)」を国内唯一の拠点として製造した。(長野県、信濃毎日新聞社)
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