木工製品の価値を見直し、利用拡大を目指す「桶(おけ)・樽(たる)サミット」が6日、木曽郡木曽町の木曽文化公園文化ホールで開かれた。木曽地方の森林・林業関係者らでつくる実行委員会主催。約450人が出席し、パネル討論などを通じて伝統的な木の文化の復興策を考えた。
パネル討論は中部森林管理局の鈴木信哉局長がコーディネーターを務め、木製のおけとたるの製造、活用に取り組む県内外の職人や業者ら5人が意見を交わした。
おけによる酒造りの普及に取り組むNPO法人桶仕込み保存会(上高井郡小布施町)のセーラ・マリ・カミングス理事長は、保存会などの活動を紹介。「木のおけでないと出せない味が確実にある」と強調した。
一方、木製の貯水槽などを製造している日本木槽木管(横浜市)の平川政治さんは、「木製品はコストが高く、手入れが大変というイメージがある」と課題を指摘。会場のおけ職人からは「製品単価を倍にし、所得を確保しないと、若い職人の生活は成り立たない」と、後継者育成の難しさを訴える声も出た。
討論の最後に、木のある暮らしの再生に向けたネットワークの強化を盛り込んだ「桶・樽復活宣言」を採択。会場では木製のおけやたるなどが展示即売された。
県林務部によると、県内の木製のたるとおけの生産地は木曽地方が中心。2011年の出荷額は3億1千万円で、愛知県に次いで2位。金属やプラスチックなどの新素材に替わり、需要は減少傾向にある。(長野県、信濃毎日新聞社)
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