伝統芸能を継承する伊那谷や木曽谷の団体が集まる「第8回信州農村歌舞伎祭」が9日、伊那市の県伊那文化会館で開かれた。木曽郡南木曽町の小学生でつくる田立こども歌舞伎が初出演。主君を討った明智光秀と家族の悲劇をモチーフにした演目を熱演し、堂々とした立ち居振る舞いに客席から大きな拍手とたくさんのおひねりが飛んだ。 児童たちは、戦国の世を生きた武将の誇りや男女の心の機微など、難しい感情を巧みに表現した。地元以外では初めての舞台といい、主役を演じた南木曽小学校6年の山田源大(げんた)君(12)は「こんな大きな所でやるのは初めてだったけれど、間違えずにできてほっとした」と笑顔を見せた。 こども歌舞伎を指導する田立歌舞伎保存会の松川敏彦会長(77)は「最高の出来。みんな立派にやれて褒めてあげたい」と喜び、「保存会の一員になって歌舞伎を受け継いでほしい」と期待した。 歌舞伎祭は県伊那文化会館主催。大鹿歌舞伎保存会(下伊那郡大鹿村)、中尾歌舞伎保存会(伊那市長谷)の上演もあり、約700人が堪能した。(長野県、信濃毎日新聞社)
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