「ありがとうと伝えたい」―。上村愛子選手(北野建設)の地元、北安曇郡白馬村では9日未明、村役場多目的ホールの特設応援会場に約60人が集まり声援を送った。表彰台に届かず涙を流す人もいたが、最後は「愛子、お疲れさま」と健闘をたたえた。 上位6人による決勝。スピードに乗った滑りに会場は大きな拍手に包まれた。残る選手はあと5人―。中継映像を映した大型スクリーンをじっと見守る。最終滑走者が3位になり上村選手の4位が決まった瞬間、ため息がもれたが、インタビューで「最大の力を出せた」と笑顔で語ると、惜しみない拍手が送られた。 元日本代表モーグルコーチで白馬村の切久保達也さん(43)も会場で観戦し、「長年モーグル界を背負い、重圧と戦ってきた。お疲れさまと伝えたい」。五輪前に出会った時、以前は見られなかった晴れ晴れとした表情が印象に残る。「引退も考えながら悔いのない滑りを心に決めていたと思う。メダルを取らせたかった」と目頭を熱くさせた。 招致段階から長野五輪に関わった村スポーツ課長の松沢忠明さん(54)は「長野五輪時代から村に残してきた功績はたたえきれない」。長野五輪で18歳だった上村選手は「実力とカリスマ性で五輪を盛り上げた功労者の1人だ」と話す。世界選手権やワールドカップで活躍し、「白馬の名を国内外に広めてきた」と感謝する。 松沢さんは「地元では上村選手を目指す子どもも多い。上村選手が夢を諦めず、五輪に挑戦し続けてきたおかげだ。帰ってきたら、ありがとうと伝えたい」と話した。(長野県、信濃毎日新聞社)
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