県内の狩猟者や調理師らでつくる「信州ジビエ研究会」と県は、県産シカ肉の認証制度を新たに設ける。シカ肉を適切に処理している施設を認証し、そこから出荷される肉に認証シールを貼って販売できるようにする。ジビエ(野生鳥獣肉)の一種のシカ肉は、牛肉などと比べて消費者になじみが薄いため、安全で安心な食材としての「お墨付き」を与えてブランド化を進め、県産シカ肉の需要の拡大につなげる。 同研究会や県でつくる審査委員会が、食肉処理施設の書類審査や現地審査をして認証する。県が2007年度に策定した信州ジビエの「衛生管理ガイドライン・衛生マニュアル」に沿ってシカを解体しているか確認。委員は解体の様子を見学し、施設側の作業手順書などが守られているか調べる。 認証期間は1年間。シカ肉処理の記録が適切に保管されていれば1年ごとに更新する。認証を受けた施設から出荷したシカ肉には個体識別番号を与え、同研究会のホームページで捕獲日や産地、雌雄が確認できるようにする。 農林業被害を受け、県内で12年度に捕獲されたニホンジカは3万3668頭。そのうち食肉にされたのは約5%の1524頭にとどまり、シカ肉の消費拡大が課題になっている。県は、認証されたシカ肉を県産農産物の統一ブランド「おいしい信州ふーど(風土)」の一つと位置付けてPRする。 茅野市のフランス料理店のオーナーシェフで、信州ジビエ研究会理事も務める藤木徳彦さん(42)=日本ジビエ振興協議会代表=は、北海道や和歌山県にも同様の認証制度があるとした上で、「長野県でも認証制度はぜひ進めるべきで、ジビエの県外への売り込みにつなげてほしい」と期待している。(長野県、信濃毎日新聞社)
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